仕事終わりに、初めてアウトドアショップに寄りバイクを止める。
改めて店全体を見渡すと、建物がものすごい大きいことに驚く。
しかし大きさに班比例して、駐車場が広い割には止まっている車1台と、駐輪場にはバイクが一台止まっているだけ。
最近のソロキャンブームでアウトドアショップも人だらけと思っていったから、素人の自分は構えて行ったのに肩透かしをくらった気分になった。
駐輪場に止めた、愛車のゼファーのシートの上に盗まれないように祈りつつ、固定するのが面倒だったからそのままヘルメットを脱ぎポンと置く。
ふと自分の隣のバイクに目をやると、道路では見かけないバイクがあった。
気にはなっていたものの、ジロジロみるのも悪いと感じ、エンブレムを見る前に店内に入った。
客は自分と同じ年代くらいの女性が1人と、中年の夫婦が1組だけだった。
店内は想像通り広く、しかし広さの割には店員が2人と少なく、店員の数からして接客にくることはまずないと分かったが、今回は買うつもりで来てなかったから「これでゆっくり店内を見て回ることができる」と思った。
雑誌でしか見たことがないアウトドア商品を眺めるだけでも心が躍ったが、使い方や用途がよく分からない商品もあった。
その日は気になった商品をスマホのカメラで撮影しつつ、15分ほどかけて周り、店から出ることにした。
単純なもので、その頃には日本を回ってみようという決心がついていた。
店から出て、駐輪場に行き、どうしても気になったので横目で隣のバイクのロゴを見るとNortonと書かれていた。
ヘルメットが一つしかないところを見ると、さっきの客のうち、1人で来ていた女性の物だろう。
Nortonはレースなどで活躍したメーカーで、一時期潰れていたが、近年復活したバイクメーカーだ。
個人的には、ノートンのバイクは世界で一番美しいバイクだと思っているが、日本では正規販売店も少なく、ほとんど見かけないバイクでもある。
かくいう自分も実物のNortonのバイクを初めて見た。
それだけに珍しいバイクに乗り、アウトドアショップに1人で来ていたこの女性のことは強烈に印象に残った。